2013年6月17日月曜日

外為10時 円、94円台後半に伸び悩み 日経平均上昇につれて売り

17日午前の東京外国為替市場で円相場は伸び悩み。10時時点は1ドル=94円64~67銭近辺と前週末の17時時点に比べ46銭の円高・ドル安で推移している。株式市場で日経平均株価 が上昇に転じると、投資家が運用リスクを回避する姿勢を和らげるとの見方から、安全資産とされる円が売られた。
 10時すぎに94円70銭近辺まで上げ幅を縮小した。薄商いの中、金融機関の為替ディーラーが円売りを出したため値が動きやすかったとの指摘も聞かれた。

 10時前の中値決済については「ドルの需給に大きな偏りはない」(国内銀行)との観測が出ていた。

 早朝取引は取引の手掛かりとなる新規の材料に乏しく、高い水準での小動きとなった。米株式相場の下落を受けて、円を買う動きが広がった前週末の流れが継続した。

 円は対ユーロ でも伸び悩み。10時時点では1ユーロ=126円19~23銭近辺と同51銭の円高・ユーロ安で推移している。早朝は円買いが優勢だったが、対ドルで円売りが優勢となったのにつれて、円は対ユーロでも上げ幅を縮めた。10時すぎに126円25銭近辺まで円売り・ユーロ買いが出た。

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波乱の日本株式市場 浮かび上がる3つの疑問

日本株の急落で始まった市場の動揺は新興国に波及し、世界的にリスク資産離れの動きが広がっているという。米連邦準備理事会(FRB )の量的緩和第3弾(QE3)が早期に縮小に転じるとの観測をきっかけに、ヘッジファンド が世界で株式の持ち高を減らしているとの見方だ。
 確かにそうした動きはあるのだろうが、そうだとしても腑(ふ)に落ちない点もある。例えば、FRBのお膝元である米国ではなぜ株価が底堅く、日本の株式市場はこれほど振り回されるのか。乱高下を続ける日本株市場を見ながら感じる3つの疑問を考えてみた。

〈疑問1〉ヘッジファンドは総売りに転じたのか

 昨年11月からの海外投資家による日本株の買越額は10兆円近くに達し、その過半がヘッジファンドによる買いとみられている。もしもヘッジファンドが総売りに転じ、仮に5兆円近い売りが出れば、日経平均株価 は4ケタの世界に逆戻りしかねない。しかし、投資主体別の売買動向を見ると海外投資家は6月第1週に1600億円の買い越しだった。データを見る限り、ヘッジファンドが一斉に売りに転じたとは思えない。

■先物売りで崩れた相場

 「外国人投資家がリスクオフに転じたとの見方は誤り。中長期の投資家は今、売りも買いもせずに様子見だし、(相場のトレンドをつくる)グローバルマクロのヘッジファンドもポジションに変化は見られない」。BNPパリバ証券の丸山俊チーフ・ストラテジストはそう話す。

 では誰が日本株を売っているのか。丸山氏が挙げるのはCTA (商品投資顧問)。主に先物やオプションを投資対象として、景気指標や市場統計などを手掛かりにアルゴリズム取引 (コンピューターのプログラムによる売買)で利益を上げようとするヘッジファンドだ。日経平均が1万6000円目前に駆け上がった5月23日前場までの急騰相場をリードしたのは、このCTAだったといわれる。

ところがその後の急落で、上げ相場に賭けていたCTAは大きな損失を被り、ポジション縮小のために機械的な先物売りを続けざるを得なかった。その先物売りが裁定取引 の解消に伴う現物株の売りや、信用買いをしていた個人投資家の投げ売りを巻き込んで、現物株市場の下げを増幅した。

ちなみに三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストも直近のリポートで「CTAの積み上げたポジションの解消が価格変動を大きくした」と指摘している。


 丸山氏は「CTAの株式売買は機械的なトレーディング。付いた値段にはほとんど意味がない」と主張する。1万6000円目前まで上げた株価と同じように、CTAの先物売りで付いた今の株価にもファンダメンタルズの裏付けはないという。「相場が落ち着きを取り戻し、中長期の投資家が動き始めたときに相場は新たなスタートを切る」というのが丸山氏の見方。ただし、CTAの売りが止まるまで下げ相場は続く可能性は強い。グローバルマクロなど他のヘッジファンドが持ち高をいつまで維持するかはわからない。

〈疑問2〉米国株はなぜ高値圏を維持しているのか

 QE3の早期縮小観測が世界的なリスク資産離れの理由なら、最も敏感に反応するのは米国株のはず。ところがダウ平均は今も1万5000ドル台で推移しているし、市場の不安心理を映すというVIX指数(S&P500オプションのボラティリティー 指数)もじわじわ上昇傾向とはいえ、節目の20は下回っている。

■懐の浅い日本市場は新興国並み?

 野村証券の村山誠シニアストラテジストは「QE3が出口に向かうのは、米経済の回復の確度がそれだけ高まっているからで、決して悪いことではない」と指摘する。量的緩和であふれたマネーは投資先のジャンク債や新興国の株式・通貨などから引き揚げられつつあるが、その一部は「相対的にファンダメンタルズがしっかりしている米国株に向かっている」といい、それが米国株の底堅さにつながっているとみる。実際にQE3の転換となれば米国市場も動揺するだろうが、景気の回復度合いを考えれば「そこは買い場になる」と強気だ。

 丸山氏はQE3の早期縮小観測で株価が大きく下落した国には共通の特徴があるという。「(CTAの売りで急落した)インドやタイ、インドネシア、フィリピンなどはいずれも国内に中長期の投資家が育っていない国。その意味では日本の株式市場も新興国並みだ」と手厳しい。投資家層に厚みがあって企業の自社株買い も活発な米国市場と異なり、懐が浅い日本や新興国の株式市場は海外投資家の動向に大きく振り回されてしまう。

〈疑問3〉異次元緩和の効果は消えたのか

 株価も円相場も4月4日に日銀が打ち出した異次元緩和の前の水準にほぼ逆戻りし、長期金利 はそれ以前の水準より高くなっている。株安と円高はある程度、一部ヘッジファンドの持ち高の巻き戻しという短期の需給で説明できるとしても、長期金利については「日銀は金利上昇を制御できないのでは」との見方が出ている。前週の金融政策決定会合 でも、市場を静観する日銀の姿勢が際立った。米国の長期金利に引きずられ、今後、日本の長期金利はさらに上昇していくのだろうか。

■「長期金利は上がらない」

 武者リサーチの武者陵司代表は「債券相場が不安定なのは行き過ぎた金利低下の是正局面だから。今の長期金利の水準は決して高くはないし、今後も大きく上がることはない」とみる。

 低金利の理由は(1)国内需要の弱さ(2)日銀の量的緩和の継続(3)企業の貯蓄超過の3つ。このうち、(1)については劇的な景気の回復は望めず、(3)については資本と雇用の余剰の解消にはかなりの時間がかかるのは必至。だからこそ(2)の量的緩和という政策支援が必要だと主張する。

 日銀の異次元緩和は4月に始まったばかり。デフレ 脱却の期待への働き掛けはともかく、実体経済に政策効果が及ぶにはそれなりの時間が必要になる、というわけだ。武者氏は「異次元緩和への批判にしてもQE3の出口議論にしても、ヘッジファンドのポジション調整の格好の口実に使われている面が強い」と、行き過ぎた悲観論には批判的だ。

 今回の波乱相場が、改めて日本の株式市場のもろさを浮き彫りにしたのは事実。株式相場は今後もFRBの出口論議に一喜一憂したり、ヘッジファンドの影におびえたりしながら、時間をかけて落ち着きどころを探る展開になりそうだ。

 ただ、長い目で見れば株価の方向性を決めるのは、あくまでファンダメンタルズ。政府と日銀が最優先の政策目標としてデフレ脱却に取り組み続け、企業収益が着実に回復していくならば、今から弱気になる必要はないはずだ。

2013年6月15日土曜日

日本経済:成長戦略、高い目標並ぶ 実効性高める追加策焦点

政府は5日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、成長戦略の素案を示した。分野ごとに政策と具体的な数値目標を盛り込んだ。包括的な成長促進策として方向性は評価できるが、高い目標を掲げる一方、政策は小粒な印象が強い。2020年以降の長期目標も多く、脱デフレ実現に向けた道筋は見えない。実効性のある政策を追加できるかが問われる。

 安倍首相は5日午前、規制改革会議から健康食品の効能表示解禁などを盛り込んだ答申を受け取った。その後、成長戦略第3弾の演説で一般医薬品のネット販売の解禁や新しい特区制度の創設を発表した。成長戦略は来週の閣議決定を目指す。

 素案は今後10年間平均の名目経済成長率3%、物価変動の影響を除いた実質成長率2%という目標を示した。民主党政権が12年の成長戦略で出した目標と全く同じで、潜在成長率が1%未満に低下したとされる日本経済が達成できるかどうかには疑問の声が多い。

 消費者物価の上昇を伴う成長を実現するには日銀の金融緩和に加え、潜在成長率を底上げする政府の成長戦略の支えが欠かせない。参院選前には痛みを伴う政策をとりにくいとしても、参院選後もにらんで目標実現に向けた具体策を詰めることで「成長戦略は力不足」という金融資本市場の評価を覆す必要がある。

■産業の代謝促す
 成長戦略の第1の柱は「産業再興」。新たに起こした企業数が全体に占める割合を表す開業率と、事業をやめた企業の割合を表す廃業率をともに欧米並みの10%台に高め、産業の新陳代謝を促すことを目標に据えた。

 だがベンチャー育成の難しさは過去の実績で証明ずみだ。直近統計の04~06年度は開業率が5.1%、廃業率が6.2%。統計のある1970年代以降、どちらも10%を上回ったことはない。倒産しても経営者の財産が全額没収されないように保証制度を見直すだけでは、目標実現への道筋は見えてこない。

 第2の柱の「戦略市場創造」で注目が集まるのは農業だ。今後10年間で農村の所得を2倍にする。生産コストを下げ、都道府県が農地を集約して大規模経営者に貸し出す制度を新設する。ただ10年で倍増するには年間7%の伸びが必要。環太平洋経済連携協定(TPP)などで関税引き下げが進むだけにさらなる競争力向上策が欠かせない。

 第3の柱が国際展開だ。外国から日本への直接投資残高は20年に35兆円と現在の2倍に増やす。対日直接投資の倍増は小泉政権が03年に掲げて5年でほぼ達成したが、08年のリーマン・ショック以降の残高は横ばいだ。

 政府が新たに設ける国家戦略特区で、どれだけ踏み込んだ規制緩和に取り組めるか。さらには特区に限らず、大胆な規制緩和を全国規模で実現できるかが問われる。民間活力を生かす発想も見られるが、官業改革の本丸である日本郵政に切り込む視点は欠落している。

■進捗点検が課題
 民主党が12年に決めた成長戦略は20年の目標とともに、15年時点の中間目標を置いた。しかし今回の成長戦略は5年以上先の目標が目立ち、各省庁から見ればはるか先まで責任を問われない約束だ。

その間に政権が代われば雲散霧消する可能性もある。経済財政諮問会議の民間議員を務める東芝の佐々木則夫社長は「(計画、実行、点検、修正の)PDCAサイクルを回すことが必要」とし、進捗をしっかり管理すべきだと語る。

 甘利明経済財政・再生相は会議後の記者会見で「政労使が率直に議論できる場を今秋をめどに設けたい」と述べ、新たな会議で経営者に賃上げを求めていく考えを示した。ファミリーマートの中山勇社長は「問題は輸出企業中心の業績回復が内需企業に波及し、賃金上昇や雇用の安定によって消費が拡大するかどうか。政策の実行力に期待したい」と指摘する。

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