日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は11日に発表した景気や物価の見通しをはじめ、日銀金融政策決定会合の決定内容や背景について説明した。一問一答は次の通り。
--景気判断に「回復」という言葉を入れた理由は
「輸出や生産、個人消費に比べて出遅れていた企業の設備投資も今後伸びると判断した。一方、雇用と所得は、賞与は増えたが、所定内賃金の上昇は見えていない。大企業は春闘で賃金を決めるので、すぐに景気の回復を実感するのは難しいかもしれない」
--参院選の期間中に日銀が景気回復を宣言したのは
「政治的な意図は全くない。景気が回復しつつあることは、さまざまな経済指標から素直に引き出せる」
--円安の影響で燃料費や資材価格が上昇している
「物価上昇率2%が安定的に持続するには、生産や賃金、所得、支出がバランスのとれた形で上昇する必要がある。今後、景気回復が明確になれば、(賃金上昇が伴わない)悪い物価上昇にはならない」
--中国経済への懸念は
「経済成長率はやや低下したものの、個人消費や投資は堅調で、今後も安定した成長が見込める。ただ、政府が成長の質を重視し、構造改革など政策を打ち出す中で、不確実性があるため、動向は十分注視する」
--日本の財政再建に世界が注目している
「日本の財政は世界で最も深刻な状況。財政再建が進まないと金利が上がる懸念はあるが、政府は今のところ、財政健全化に向けて努力している」
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